新宿南口のサザンテラスに行っていつも思うことがあった。
「ここでいちゃつくカップルは大勢の人に見られて恥かしくないのか?」 「千葉とか埼玉からわざわざいちゃつきに来たんじゃないの?」(千葉・埼玉の人ごめんなさい) おそらく地元人がいちゃつくには恥かしすぎて居心地が悪い場所なんだと思う。 でもテレビや雑誌で取り上げられる「素敵な場所」なら遠出してでもいちゃつきたい、と思わされるような。 こんな風に、劇場のステージのように演出する舞台として設定されてる空間ってないだろうか? 通行人が観客となり、演出する本人も見られているのを意識して行動を起こすような空間。 疎遠・無秩序な人間関係が前提の公共空間からポンっと抜け出すような空間だ。 しかも、その空間では事前にメディアから知らされた認識に基づいて演出する。 もちろん、全ての人が演出に参加するわけではなく、またその空間が自然発生するわけでもない。 ただ、「演出する空間」を歩いていると、少なくともビジネス街を歩いてるときとは違う関連性を他人と感じてしまう。 社会学的な言葉を使うとAnomyじゃなくなる。 例えば旅行に行ったときなんて、特に舞台で演出している気持ちにならないだろうか? フィレンツェの大聖堂なんて行けば、誰もが頭の片隅に「冷静と情熱のあいだ」を思い出さずにはいられんだろう。 別に恋愛だけでなくても、日本海の荒波を見たらどことなく物憂げな遠い目をしてしまう、とか。 少しナルシスト的に役柄を演じることで、日常とは異なる生きた感覚を味わえてしまう。 だからこそ日常の憂鬱に耐えれるのかもしれない。 注意深く街を見渡すと、演出する空間は至るところにあるのかもしれない。
by fumiwakamatsu
| 2004-12-08 00:02
| 文化人類学
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