アメリカの大学院に通っている、とある女の子のサイトに書かれていた話。
その子は生物を勉強していてTA(授業補佐)の研修を受けているときに医学部生と一緒になったそうだ。 暗く卑屈に世の中を見る生物学生に比べて、医学生はむしろ王道を歩いてきた煌びやかさがある。 医学生は幼少の頃からヒーロー的役目を果たしてき、将来は人を助けるというすばらしい道義に向けて生きている。 それに比べ、PhDをやっている院生はどうしても斜めに構えた姿勢が身に染み付いてる、そうだ。 同じような場面に出くわしたことが自分にあって、つい読みながら笑ってしまった。 おそらく生物学-医学の関係が、人類学-政策学の関係に似ていると思う。 この前、国際教育政策学というマスターコースに在籍している日本人の女性と食事した。 外資金融の大手で数年働いたあとにそのコースに入り、卒業後は国連のユネスコで働きたいそうだ。 「教育は万人に与えられるのが義務である」という哲学に揺らぎがなく、それを妨げる貧困絶対に撲滅する、と熱く語っていた。 もちろん、それを聞いている自分は「ふぅん、へぇ、ほぉ」と適当な相槌を打っていた。 なぜか酒の話になり、彼女は全くの下戸だと話はじめた。そして一度だけ急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれたそうだ。 それがメキシコで開かれた「女性のための貧困撲滅大会」のような議会に参加したときだったらしい。 レセプションのワインを2口ほど飲んだだけで意識を失い、病院で点滴を受けた。 しかも保険がないので莫大な治療費を自腹で払ったそうだ。 それを聞いたとき飲んでたビールを噴出しそうになった。 「何それ?『貧困撲滅に向けてかんぱーい!』 とか言ってアル中になったの?わざわざメキシコまで行って?」 と、むせながら言うと、 「だって仕方ないでしょ、お酒弱いんだから」 と言われた。皮肉が通じてなくて残念だった。 貧困が無くならないわけだ。 しかし、向こうからすれば象牙の塔で机上の空論ばっかしている学者なんて なんの価値もなく見えるのだろう。斜めに構えて口だけの人間が一番無用なんだろう。 アフリカの飢餓について「世界システム論」を使って構造的搾取関係がある、とか 希望という言葉は金になる、なんて言っても仕方ないんだろう。 ヒーローと斜めに構える人達が肩を寄せながら同じキャンパスにいるのに、平行線は続いていく。
by fumiwakamatsu
| 2004-11-11 10:16
| 雑記
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