労働のカジュアル化

東京、ロンドン、ニューヨーク。この三都市が80年代後半より似たような都市開発を進めて来た
と主張する学者がいる。80年代後半より情報技術の発展と金融市場の自由化が進み、三都市
の中心部には金融系多国籍企業の司令中枢部が置かれるようになった。そして購買力が高ま
ったエリート層向けの消費施設や住宅施設が増え、都市空間が優美化されていく。

その反面、これらエリート層の仕事に奉仕するための職が必要となって来る。レストランなど直
接他人に尽くすようなサービス業だけでなく、オフィスワークなどの同じ職場を共有する一般職
のような場でも奉仕階層が増える。この奉仕階層では、雇用形態は不安定であり、常に安い賃
金で雇えるよう入れ替えが激しくなる。これは職のカジュアル化と呼ばれている。

さて、この理論は90年代初頭に発表されたのだが、六本木ヒルズの絢爛な姿や派遣社員の増
加に象徴されているように、かなり的を得ているように思える。格差社会と言えばそれまでなん
だが、面白いのはなぜか奉仕階層に起こるカジュアル化が肯定されるような言説が溢れている
点だ。「派遣の品格」というドラマが流行ったり、「自分探し」と銘打って留学がもてはやされた
り、なぜ奉仕することのプライドやかりそめの自由が賛美されるようになるんだろうか?

これらの考えが奉仕階層を搾取するために作られた虚偽意識を蔓延するイデオロギーだと古
典的なマルクス的解釈をするのは簡単なんだけれども、日本に帰って来てからその露骨さに驚
かされてしまう。
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by fumiwakamatsu | 2007-12-10 16:38 | 文化人類学
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