ある終戦の歴史

今日サンパウロの日系ブラジル人を研究している方と話をしていて、面白いことを聞いた。

第二次世界大戦中、日系ブラジル達は、ブラジルが連合国側についているにも関わらず、熱烈
に日本を支持していたと言う。しかし、もちろん祖国に義勇軍として帰ることは出来ない。せめて
出来ることは開拓者としての経験を生かして日本軍が占領した南洋の島々へ移住し、植民化を
推進させることだった。

計画が進むうちにどうやら戦争が終結に向かっているとの情報が入る。そこで、天皇の玉音放
送が流されると言うことで、事実を確かめるためにラジオをつけてみたそうだ。最初は誰も音な
ど聞けないと思いこんでいたのだが、地球の裏側にも関わらず、かすかに天皇の肉声が聞こえ
てきたのである。しかし、肝心の勝ったのか負けたのか、という部分が聞き取れなかったそうだ。

サンパウロにいた日系ブラジル人の大半は、その後もまだ日本が勝ち続けていると信じてい
た。日系のコミュニティーに出回っていた新聞には「日本軍がサンフランシスコに上陸した」と言
う記事すらあったという。だが、ブラジル国内では、すでに日本が敗戦したという情報が広まっ
ており、一体どちらの情報が正しいのかわからなかったそうだ。

そこで日系コミュニティーは、まだ日本軍が勝っていると信じる「勝ち組」と、敗戦を受け入れた
「負け組」の2つに分断された。この両者は対立することになる。そして対立が激しくなるにつれ
て、勝ち組が負け組のメンバーを暗殺したり、爆弾テロを起こしたりという次元にまでなった。最
終的にブラジル政府が対立に介入することになり、両者は和解したのだが、それは終戦から四
年も経った後のことだった。

地球の裏側で、そんな終戦の歴史があったとは。
こういう話を歴史教科書に載せるべきだと思うのだが。
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by fumiwakamatsu | 2007-12-10 16:25 | 文化人類学
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