赤ちゃんポスト

先日、とあるデパートに友人と出かけた。友人がトイレに行くというので、トイレから少し離れた
位置にあるベンチで待つことにした。座ってボーっとしていると、3歳くらいの女の子を連れた
カップルが来た。夫婦でなくカップルと書いたのは、母親の方が30代後半くらいで、男の方は
自分と年の差がない20代後半に見えたからである。個人的な解釈としては、シングルマザー
が新しい彼氏と一緒に子供を連れてデート中、だったのではと思う。

さて、母親が女の子を男に預け、トイレに行く。女の子は母親が離れた途端、「ママー!」と立ち
すくみながら泣き始める。自分の横に座っていた男は苛立って、舌打ちを始める。髪を金髪に
染め、どちらかと言うと地方のチーマーのような格好をしたその男は、敵意むき出しの目で女
の子を睨む。睨まれた女の子は竦みながらも男の目を見ながら泣き続ける。しばらくすると、
「おい、泣き止め」「泣き止まないと殺すぞ」と女の子に向かって言う。当たり前だが、怖気づい
た女の子はさらに大きな声で泣き出し、男は火に油を注ぐように「やかましい」と静かに怒鳴る。

そして、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、男は泣いている女の子の胸ぐらを掴み片手で持ち
上げた。「これ以上うるさくしたら本当に殺すぞ」と怒鳴った後、女の子を地面に投げ捨てた。
尻込みをついた女の子は最大限の声でわめき始める。すると、完全に切れている男はまた同
じように胸ぐらを掴んで持ち上げ、地面に放り投げた。さすがに周りにいた人達も異常さに気付
き、一部始終を見ていたショップの女性店員も「かわいそう」とつぶやいていた。しかし、自分
も含め誰もが見て見ぬふりを決め込む。

幸か不幸か、友人がトイレから出てきた。女の子のお母さんはまだ出てこない。その場を離れ
て、事の一部始終を友人に話すと、「まだ公の場だったから周りの目を気にして男も加減した
かもしれないけど、もし母親が仕事で出かけていて男と女の子が家に残されたりでもしたら、
もっと酷かったんじゃない?」と言う。たしかに。

幼児虐待という言葉からは漠然としたイメージしか思い浮かばなかったけれど、男からすれば
連れ子の女の子は可愛いどころか、疎ましい存在でしかなかったのだろう。逆に、例え自分の
子供であっても、赤ちゃんや幼児と接して愛着を持ったり補助の役目を果たす行動を取るの
は、それなりの訓練が為された結果なのかもしれない。こう書くと酷いように思われるかもし
れないが、子供に対する愛情や保護意識は、人間の本性として確固たる土台の基にあるわけ
でなく、薄い氷膜の上にある虚像として捉えたほうが現実的であると思う。母親や父親になっ
たからといって、母親的、父親的役目を果たすとは何も保障されているわけではない。

というわけで、話は飛ぶのだけれども赤ちゃんポストには賛成だ。子供の立場からして幸せを
考えるのなら、よりよい親に行き着く可能性が高い赤ちゃんポストをどんどん設置して行くべき
である。いい親になれても子供ができない夫婦だっているのだから、別にポストに置き去りに
することを悪として見なす必要はないと思う。














しかし、ここまで書いておいてなんだが、まさか上のデパートの話が今勝手に作った作り話だなんて言えない。
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by fumiwakamatsu | 2007-05-18 22:03 | 雑記
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