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フィールドノートの書き方

人類学者は、実地調査を行うときは必ずフィールドノートというものを書き留めます。
見たこと、聞いたこと、何でも詳細に記述しておいて、将来論文を書くときのデータを
貯めておくわけです。実際にはインタビューなどをしている時間よりも書いている時間
のほうが長いのが現状です。

さて、自分の場合だと将来は英語で論文を書くため、日本語で会話が行われるにも
関わらずフィールドノートは英語で書いております。しかし、英語だと語彙は乏しいし、
書くのに馬鹿みたいに時間がかかります。今日などはある方と1時間半ほどお話をしたの
ですが、その内容を書き残すのに4時間近くかかりました。しかも、最初は英語で書いて
いたのが途中でどうでもよくなり日本語の混ざったいい加減なものに変わって来ました。
例を挙げると、「The tone of his voice was サバサバ」など、ここまでして混ぜるなら
いっそのこと日本語で書けばいいじゃないか、と自分で突っ込みながら書いてました。

しかし、重要なのは書き続けるという行為であって、その流れを止めてしまうのが一番
まずいことなのです。記憶なぞ全く当てにならない、ということが書いてみるとよくわかり
ますし、また書くことで頭の中が整理され、反省点や今後の改善点、はてには新たな
理論的なひらめきなどが起ってきます。村上春樹がマラソンを走るのと長編小説を書くのは
似たような精神活動だと言っておりましたが、まさしくそうで、書くという行為を続けると
頭もランナーズハイの状態になり、活性化されているように思います。なので走るように書け、
と常に自分に言い聞かせております。書きながら「ランナー」を歌ってしまう時すらあります。

でも、夜の11時に書き始めて気づけばすでに朝の3時。
もし規則的に毎日インタビューなんて行えば睡眠不足必至になりそうです。
by fumiwakamatsu | 2006-10-24 03:06 | 文化人類学
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