家賃

土曜日はルームメイトMと一緒にNYへ日帰りで行ってきた。
一番のお目当てはRent(家賃)というミュージカルを見ること。
内容は、家賃が払えず立ち退きを迫られる若い芸術家集団のお話。

「52万5600分、あなたは1年をどうやって測りますか?
インチで測る?朝日の数で測る?夕日の数で測る?それとも飲んだ
コーヒーの数で測る?愛で測るのはどうでしょう?そう愛の尺度です!!」

という、こっ恥ずかしい主題歌(Seasons of Love)の歌詞に要約されているように
異性愛、同性愛、なんでもござれのボヘミアンな若者達が「貧乏でも愛があればいいじゃないか!」
と謳歌していた。ミュージカルだと未だに英語が聞き取れないのでジョークのオチがわからず、
話の筋書きもいまいちだったので(空腹で死んでしまった女性ダンサーが何故か最後に生き返り、
ハッピーエンドで終わったのが盛り下がった)正直なところ金額に見合うほど楽しめなかった。
ただ、昔入っていたゴスペルサークルでこの主題歌を歌っていたので、本物を聞けてなにより。

ミュージカルが終わった後はMの弟がこの夏から暮らし出すマンションに立ち寄る。
これがありえなかった。ダウンタウンのど真ん中にある高層マンションの40階。部屋は
ガラス張りでイーストリバーが一望できる。おまけに空中庭園、ジム、カクテルルーム付き、
というまさに映画に出てくるようなマンション。カメラを忘れたのが悔やまれる。

Yaleの経済学部を卒業し、これから某大手金融企業に勤め出す彼は若干21歳。
大学時代の友人2人とシェアしているのだが、それでも1人につき12万円の家賃だ。
普通ならば人生の集大成として住む場所が彼らにとってスタート地点なのがすごい。

「兄は学問の王道を行き、弟はビジネスの王道を行き、御両親はさぞかし喜んでるだろうね?」
と帰りのバスでMに話かける。Mの御両親はサイゴン陥落の日にアメリカ大使館から飛び立った
ヘリで亡命してきた。南ヴェトナム政権下でお父さんはエリート警察官だったのだが、
渡米してからは無一文で人生をやり直したそうだ。それでも絵に描いたような
サクセスストーリーを第二世代が築き上げ、まさにアメリカンドリームの実現だ。
が、どうやら事情は複雑のようである。敬虔なカトリック教徒である御両親の意に反して、
兄はイスラム教に改宗し、弟はゲイにカミングアウトした。これも成功の代償なのだろうか?

日曜は同期Dの引っ越しの手伝いをする。所帯持ちの彼にとって大学付近のアパートは
家賃が高すぎるため通学30分かかる隣街に引っ越すことになった。緑多い長閑な郊外だったので
「子供を育てるのに最高の環境じゃないの?」と言うと「子供ができたら、さらに遠いところに
住まないとやってけないよ」とD。悲しいけれどもこれが大学院生の現実である。

52万5600分。家賃を払うための犠牲を差し引いて、あなたは1年をどうやって測りますか?
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by fumiwakamatsu | 2005-06-07 12:10 | 雑記
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