Thex?

若手の教授はどなたも親しみやすい。教授というよりはむしろ年の離れた先輩という感じだ。
今日はその代表格、鼻に輪っかのピアスを付けたインド人の女性教授Aの御宅でホームパーティー。
「文化と市民権」のクラスの閉めとして生徒を呼んでくれたのだ。アパートに入るや否や
ビールが詰まった冷蔵庫をパーンと開け「いくらでも飲みな!」と勧めてくれた。大音量でレゲエを
かけ山盛りのピザとビールをあおり、むしろ学部生のどんちゃん騒ぎのような雰囲気だった。

Aはアフリカンアメリカン研究学部で教えている黒人の教授V(この人もドレッドで渋い)と結婚している。
そして2人の間には丁度1歳になる女の子がいる。この子がすこぶるかわいくて今日は皆のおもちゃだった。
Aがここだけの話として打ち明けてくれたのだが、もし夫婦供に教授として雇われている身ならば
子供を作ることはうちの学部で暗黙の御法度となっているそうだ。たしかに、教授陣の間で子供がいるのは
5人にも満たない。フェミニズムの影響もあるかもしれないけど、フィールドワークと執筆に専念するためには
子供がいるとどうしても足枷になってしまうのだろう。一流の人類学者になるためには必要な犠牲なのかも。

そんなことはお構いなく、Aは雇われた一年目でいきなり妊娠。前例のない話だったので、
周りの教授もどう対処してよいかわからず、膨らんでいくAのお腹のことを誰も言及できずにいた。
ある日出願者選考のための教授会が夜遅くまであり、妊娠7ヶ月で食欲旺盛だったAは会議室にあった
ポテトチップスをひたすら食べていた。すると周りの教授陣も理解し出し、「私のも食べなさい」と
手元にあるお菓子を彼女に差し出していった。そのとき初めて彼女の妊娠について公に話が
できるようになったらしい。その後、出願者の中でいい名前があると教授達が黒板に書き残し、
Aの赤ちゃんに最良の名前を付けてあげれるよう皆で協力していったそうだ。「今年の一年生が
皆変わった名前をしているのはそういう背景があったのよ」とAは説明していた。

ピザを食べていると赤ちゃんが物欲しそうに寄って来たので、ちぎって手渡してみた。
すると「シェックス!」と返事をする。はぁ?セックス?隣にいた同期のMに
「今セックスって言ったよね?」と確認を求めると、「うそ〜、そんなことないわよ」
と言いながら彼女もピザをちぎってあげてみる。すると同じように「シェックス!」。
いくらリベラルな人類学者でも一歳の子供に性教育はないんじゃないか、と話していると
Aが「まだサンクス(Thanks)が言えなくてシェックス(Thex)になっちゃうの」と説明。
なるほど、ちゃんとありがとうと言える律儀な子だったのか。

まだ物に掴まってないと二足歩行できなかった赤ちゃんが今日初めて何も掴まず数秒だけ直立した。
その後皆で拍手喝采していると、赤ちゃんも真似して立ちながら拍手し出し、益々平衡感覚が成長したようだ。
[PR]
by fumiwakamatsu | 2005-05-11 13:16 | 雑記
<< 寝る前の読書 創価学会デビュー >>