ヴェトナム戦争やスラム戦争

今日は「無事修士号取れました祝い」と称して昼から学部のビルでポットラック。
急遽、同期のEが企画したんだが、教授陣や他学年の生徒も集まって楽しかった。

現役最長老でいらっしゃるW教授の大学院生活の話が聞けて面白かった。
W教授は片耳が難聴なので、ヴェトナム戦争の兵役からは無事逃れることができたそうだ。
そして、冷戦期なだけに中国について調査すると学費がただになったと理由で中国を調査対象に選んだ。
「今でもわしはこうやってハーバードの教授をやっているのが偶然にしか思えんのじゃ。高校の
同級生の多くはヴェトナムで戦死し、わしは運良く冷戦のおかげで調査ができた。まるで、コインを
放り投げて手の甲で受け手みると、たまたま表側が出てだだのようなものじゃ。わしらの世代の人類学者は
皆、生きるか/死ぬかの運命が他人に委ねられてるような感覚を持ち続けてるんじゃよ。」
医師免許を持っているK教授も従軍医師として徴兵されたそうだ。彼もたまたまヴェトナムでなく
台湾に派兵されたので命が助かったらしい。そして、その後は台湾にて調査を開始したそうだ。
ぬくぬくと温室で育っている自分には共有できない感覚をこの世代の人類学者は持っているんだろう。

昼の授業を終えた後は同期のAと一緒にジムへ。
車輪を走り続けるネズミのような虚無感に陥るので、今までジムとは疎遠だったのだが、
そうも言ってられない体型になったので、Aと週2回はウォーキングマシンで汗を流すこと決めた。
これが傍目で見ているよりもはるかにきつく、ジムの後に図書館に戻ろうと思ってたけどその気力もなくなった。
結局、Aと近所のスペイン料理屋で飯を食って、彼の家にてCity of Godというブラジルの映画を見ることに。

ある写真家の実話に基づいて作られたスラム街の紛争の話なんだが、これはかなりお勧めです。
このスラムでは20代まで生き抜ける若者がごくわずかで、10歳になろう頃には銃を持って縄張り紛争に明け暮れる。
タランティーノの映画がそのまま実話として描かれたような映画で、映像のセンスが抜群だった。
うちの学部にもブラジルのスラムでフィールドワークをした教授がいる。彼の講演を聞きに行ったとき、
「本当は自分の書いた民族誌を残虐で血まみれた話で埋めようとすることもできたんだ。執筆していたときは、
いかにその残虐性に抗って書けるか、相当悩んだんだよ」と言っていたのを思い出した。
彼の民族誌を読んだんだが、そこには描かれなかった無言の厚みを初めて理解できた。

明日は朝の9時からサスキア・サッセンとアイフア・オンというグローバル化論の大御所を
呼んで研究会が開かれる。じつはオンの本について来週の火曜日にプレゼンするので
とてもタイミングが良かった。日本で働いておられる方々には申し訳ないのだが、9時に間に合う
ほど早起きするのがかなり苦痛である。Aにモーニングコールを頼んでおいたのでなんとかなるだろう。
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by fumiwakamatsu | 2005-03-04 15:10 | 雑記
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