漫画・ジェンダー・帝国主義

少女漫画を研究する人類学者の講演に行って来た。
またオタク系の日本研究者か、と少し小馬鹿にしてたらどっこい。
明治時代初期に漫画というスタイルが輸入されてから現代に至るまで、主にジェンダーと各時代の社会背景を絡めながら上手く説明していた。
面白かった点が3つ。

(1)昭和初期の少女漫画と少年漫画にはホモエロティズムをほのめかす描写がふんだんに取り入れられた点。男女分離教育を行っていた影響と説明。戦争が近づくにつれて政府がそのような描写を禁止するようになる。

(2)「のらくろ」のストーリーが当事の戦時状況によって全く変わっていった点。最初は入隊したのらくろが軍隊の生活を茶化すような内容だったのに、それが日清戦争、日露戦争を正当化するプロパガンダへと変わる。日清戦争では中国軍が豚、日本軍が犬、そして満州人が羊として描かれ弱者を庇護に置くための戦争として描かれた。当事の爆発的人気を考えると恐ろしい。

(3)戦後の少女漫画について説明しているときにある生徒が「どうして日本の女の子が白人のように描かれているのか」と質問。その答えに「少女漫画に出てくる女の子は白人でも日本人でもなく地球上に存在しない人間だ」と返答。その説明が素晴しかった。丸と点2つ、あと半弧のいわゆるスマイル君を黒板に書き「これ何人だと思う?」と聞いたあと誰もが「白人」と答えた。その後、目の点を斜め線に変えて、「じゃあこれは?」と聞くと皆「アジア人」と答える。つまりは他の人種を想起するようなサインが無ければ自己の人種と同一視して認識される、ということ。たしかに少女漫画の女の子って髪が緑だったり、目が大きくて睫毛が異常に飛び出てたり、決して西洋人ではない。だから日本人読者にはそんな仮想(&理想)の存在が日本人として認識される。

(3)の点は理論的に発展価値あり。Contextless Sign、つまり文脈関連が一切排除された表象は自己に最も近い意味でDecodeされる。ハローキティーが海外でも人気なのは、極度にシンプル化された「かわいさ」が逆に親近感を想起させるから、と誰かが言ってたな。うーん、こりゃ一考の価値ありやね。
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by fumiwakamatsu | 2004-08-27 14:21 | 文化人類学
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