意外にも人気

非常に驚いたのだが、2年半も日本にいっている間に同じトピックについて研究している院生が
うちの大学だけで他に3人も増えていた。1人は政治学、1人は社会学、そしてもう1人は歴史を
専攻している。しかもそのうち2人はすでに査読論文を出版している。あと1人は今年大学院に
来たばかりだそうだ。一体、いつの間にこのお題がここまで人気を博すようになったのやら。

そのうち社会学の院生とこの前初会合してきた。正確に言うと、彼はデンマークの大学から
うちの大学に客員研究員として来ている。同じく実地調査をする分野だけあって、彼の方が一年
早いものの同じ人物とインタビューしていたり、気味の悪いほど自分の研究と似ているのである。
最初はお互いに警戒し合うような空気が少しあったが、話しているうちに、実地調査中に
同じような行き詰まりを感じたり、共通の経験や課題が見つかったのですぐに打ち解けた。
そして、やはり社会学者だけあって理論的な切れ味は抜群であった。こちらは人類学だけに
実地調査中の笑い話しか提供できず、少し悔しい思いをする。

ただ、1つ言えることは、彼が舞台で演じられる劇の演出しか見ていないとすれば、自分は
舞台裏で演出を作り出しているところを見てきたわけである。その違いを、ただ単に経験的に
内容の濃いデータを得られたとして片付けるのは簡単なのだが、それだけでは芸が無さすぎる。
問題は、舞台裏の経験からいかに理論的に新しいことを言えるかなのであって、舞台裏の経験
そのものは無価値に等しい。

さて、1つ困ったことにはやはりこのトピックに携わってると(特に英語で論文を書いてしまうと)、
メディアの人間が臭いを嗅ぎつけて来るようである。自分も日本にいた時点で、メディアの人間に
嫌な思いをさせられたことがあったが、彼の場合は現在某環境団体の船に乗船してドキュメンタリー
番組を作っている某有名テレビ局からインタビューの依頼があったそうだ。どのようなことを話しても
曲解されるだけなのを知っている彼は、もちろん依頼を断った。「メディアの人間は、名前が知れ
渡って有名になれることが、学者にとってもさぞ喜ばしいことだ、という前提で話しをしてくるのが
腹が立つ」と彼。全く同感である。
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by fumiwakamatsu | 2009-02-26 15:03 | 文化人類学
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